若手歯科医師として、最初に誰もがぶつかる「削ること」への不安。
僕自身も、初めて患者さんに「先生、今日の治療って削りますか?」と聞かれたとき、一瞬答えに詰まりました。
「できるだけ削らない方がいい」
「MIを意識して最小限に」
「露髄させたくないから、少し控えめに…」
どれも“正しそう”な考えに見えますよね。
でも最近、こう思うようになりました。
削らないこと=患者さんのためとは限らない。
それどころか、「本当は削るべきだったところを残したこと」が、
数カ月後の再治療につながってしまうこともあるのです。
削らないことが、患者さんのためとは限らない
臨床に出たばかりのころ、こんな経験はありませんか?
- 深いカリエスがあるけど、怖くて途中で止めてしまった
- 露髄を避けるために、カリエスを少し残してしまった
- CRで対応したけど、適応じゃなく、後からやり直しになった
そして、数カ月後に患者さんが戻ってくる——
「先生、また痛くなったんですけど…」
「最近、噛むと違和感が出てきたんですが…」
これは、「削ったこと」ではなく、
「削るべきところを削らなかったこと」が原因です。
大事なのは“今後削らない”こと
もちろん、歯は削らないに越したことはありません。
でも大事なのは、“今削らないこと”ではなく、“今後削らないようにすること”なんです。
そのために、僕たちが意識すべきことは――
- 削ることを怖がるのではなく、再治療になることを怖がる
- 「今の治療が最後の治療になるように」と常に考える
- 適切に削り、適切に修復して、患者さんの口腔内を安定させる
削ることに「罪悪感」ではなく、「責任感」を持つ。
それが、僕たち歯科医師に求められる姿勢なんだと、ようやく気づき始めました。
患者さんのために、削る決断を
一度削った歯は、元には戻りません。
だからこそ、「削る」という行為には、責任が伴います。
でも、「必要な切削」をしっかり行うことで、
それ以降の再治療を減らし、患者さんの歯を守ることができる。
その治療が、「この患者さんにとって最後の治療になるように」。
そんな気持ちで、僕は毎日の臨床に向き合っています。
\次回予告/
「歯磨きしてるのに虫歯になる…なんで?」
そんな疑問、感じたことありませんか?
実は、“ある〇〇”が原因かもしれません。
次回は患者さん向けに、虫歯の本当の原因についてわかりやすく解説します!
『歯磨きしてるのに虫歯になる?—それ、〇〇のせいかも!』
来週火曜日公開予定。お楽しみに!
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